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26夜目
相談内容:私は工事請負契約で自宅を新築しましたが、入居直後から多くの不具合が発生しています。知人に相談したところ、そうした場合は請負人(建築業者)にたいして、瑕疵担保責任を追及できるとという事でした。住宅業者の瑕疵担保責任とは、どのようなものなのでしょうか。
回答: 1.建設業者(請負人)の瑕疵担保責任の概要-請負人の瑕疵担保責任については、民法634条から640条に規定が有ります。仕事の目的物に瑕疵がある場合に、注文主には請負人にたいする①瑕疵補修請求権(634条-1)②瑕疵賠償請求権(634条-2)③契約の解除権(635条)が認められています。
この請負人の瑕疵担保責任は無過失責任(不法行為であれば過失がなくても責任は免れない)とされ、売買契約の担保責任(民635)の特則であると共に、債務不履行責任(民415)の特則と解するのが通性・判例です。したがって、請負人は、工事完成前には一般規定である債務不履行責任を負い、工事完成後には債務不履行責任の適用は排除され、民法634条以下の瑕疵担保責任を負う事になります。
2. 瑕疵担保責任の要件(工事の目的物の「瑕疵」-ここにいう「瑕疵」とは、完成された工事が契約で定めた内容通りではなく、使用価値や交換価値を減少させる欠点があるか、または当事者があらかじめ定めて性質を欠くなど、不完全な点を有することとするのが通説・判例です。 そして、その判例規準については、契約書や見積書、設計図書等により合意内容が明確にある場合にはそれにより、合意内容が不明確である場合には最低基準を定めた建築基準法等諸法令を基準をして合理的な意思解釈を行なう事になります。
3. 瑕疵担保責任の効果 (1)効果①ー瑕疵補修請求権(民634-1) まず注文者は請負者に対して、相当の期限を定めて瑕疵の補修を請求することができます。もっとも瑕疵が重要でなく、その補修に過大な費用が掛かる瑕疵補修請求をする事が出来ません。(民634①ただし書) (2)効果②ー損害賠償請求権(民634-2) また、注文者は請負人に対して、瑕疵の補修に代えてまたは瑕疵の補修とともに損害賠償請求をする事が出来ます。この、賠償の範囲は履行利益であるとされ、その算定は補修請求時(注文者が補修請求をすることなく直ちに補修に代わる損害買収請求をした場合には損害賠償請求時)を基準とするのが判例です。民法634条2項後段は損害賠償請求について民法533条を準用していますが、注文者が瑕疵の補修に代わる損害賠償請求債権をもって報酬全額の支払いにつき同時履行の抗弁権を主張できるかという問題があります。この点、判例は瑕疵の程度や各契約当事者の交渉態度等にかんがみ信義則に反すると認められる場合の除き、注文者は請負人からの瑕疵の補修に代わる損害の賠償を受けるまでは、報酬全額の支払いを拒むことができるとしています。(判例平9・2・14判時1598-65) また注文者の損害賠償請求権と請負人の報酬請求権とは相殺することも可能とされてます。(東京高判昭52・5・9判時858-62) (3) 効果③ー契約の解除権(民635) さらに、注文者は目的物に瑕疵があるために契約の目的を達成できない場合には、請負契約を解除することができます。しかし、目的物が建物などの土地工作物の場合には、契約の解除はできないと定められてます。これは建物などの土地工作物の場合に会場を認めると、請負人にとって過大な負担になることや社会経済的損失が大きいことから規定されたものです。 したがって、原則として建物工事請負契約の場合には瑕疵担保責任としての解除権を行使することはできません。もっとも、建物に重大な瑕疵があり建て替えるほかない場合には、注文者は請負人に対し、建物の建て替えに要する費用壮図額を損害としてその賠償を請求することができるというべきである年て建替費用の請求を認めるなど、実質的に会場を認めたに等しい結論を導いた判例が有ります(最判平14・9・24判時1801-77)
4.瑕疵担保責任の免除(民636)- 目的物の瑕疵が、注文者の提供した材料の性質または注文者の与えた指図により生じた場合には、注文者は瑕疵担保責任は負いません。もっとも請負人が注文者の供した材料または指図が不適当であることを知りながらこれを告げなかった場合には、請負人は担保責任を負わなければなりません。(民636ただし書)
5.瑕疵担保責任の存続期間(民637-639) (1)民法の規定 引渡しから長期間が経過すると瑕疵の判定が困難となるため、建物建築の請負人の瑕疵担保責任の存続期間について、①民法は木造建築または地盤の瑕疵は、引渡し後5年間、②石造、土造、レンガ造、金属造の建物は引き渡し後10年間、③建物が瑕疵により滅失、毀損した場合は、その時から1年間と規定しています。もっとも、この期間は特約により短縮したり延長したりする事が出来ます。このため、実際には軽油悪や約款いおいて「引き渡しの日から1年ないし2年」と短縮されているケースが多く、民間連合協定工事請負契約約款を用いた契約では、木造建物については引き渡し後1年、コンクリート造建物や地盤については引き渡し後2年に短縮されてます。なを、瑕疵担保責任による請求権を保存するためには、期間内に担保責任を問う意思を裁判外で明確に告げることで足り、裁判上の権利を行使するまでの必要はありません。また、上記期間内に一旦行使された瑕疵補修請求権は、一般の債権同様目的達成までまたは消滅時効完成まで存続し、徐斥期間経過後も、瑕疵補修請求のみならず補修に代わる損害賠償請求権や補修とともにする損害賠償請求権の行使も妨げられないとされています。
(2)「住宅の品質確保の促進等に関する法律」による瑕疵担保責任の10年義務化 上記の民法の規定では、建築注文者の保護が十分でないとし、平成12年4月1日んび施工された品確法では、請負人の瑕疵担保責任の存続期間を「構造耐力上主要な部分又は雨水の侵入を防止する部分」に限って、引き渡しの日から10年とし、これよ降り短い特約は無効とされました。また、期間を延長すっる特約はできますが、その期間は20年を超えることはできません。
6.瑕疵担保責任免責の特約(民640)
民法上の瑕疵担保責任に関する規定は任意規定なので、瑕疵担保責任を免除する旨の特約は有効です。しかし、この様な特約をした場合でも、請負人が知りながらつげなかった瑕疵については責任は免れることはできません。
アドバイス:請負人(建設業者)に対して瑕疵担保責任を追及する場合には、民法上の瑕疵担保責任の規定だけでなく品確法や請負人・注文者間の特約の規定などにも注意を腹っ就てください。また、弁護士のような専門家に当初より相談することをお勧めします。 2024.08.04